みずからの手ざわりに従う

     香り高きアルムスタファ

   八月の夜空にコトノハの船をうかべ

     銀河へと櫂なく たゆとうてゆく

     あけはなたれた窓と銀の河

        往   
        来    
            往
            来

    小さな灯りがかすかにゆれて 

       気がつけば 星のはら

      しじまの海は満ちて 

      へさきの水面が波動する

      天高く灯ともすまぶね

      ゆらゆらと あちらこちらから

     集まって来るひかりたち

    三叟先にはなつかしいひとみ

     観客のいる悲しみから 遠く離れて

      あなたがひとりで抱きしめたもの

  
         あずかったままの秘密を

       再びあなたとわかちあおう

    あそびに満ちて ふるえる胸

     まどべとまぶね 

       わたしの新しい十字架

     デルフィナス

      ちいさなともがらと

      やわらかにきらめいておどる夜